2012年のレースシーズンを振り返って
唯一の日本人、かつ女性として世界最高格式の耐久レース、世界耐久選手権(World Endurance Championship: WEC)に年間参戦していたレーシングドライバー井原慶子は、10月28日(日)、中国の「上海国際サーキット」で行われたWEC最終戦に参戦。惜しくもアクシデントによりリタイヤとなったが、「ル・マン24時間レース」を含む年間8レースすべてに出場し、入賞4回、獲得ポイント50点、LMP2(「ル・マンプロトタイプ2」)クラス7位の成績でデビューシーズンを終えた。
資金集めに日々奔走しながら、最高時速300キロを超えるマシンを操るためのトレーニングを続けて世界8か国を飛び回った今シーズンを振り返り、井原は以下のようにコメントしている。
「今年一年、応援ありがとうございました!世界最高峰のシリーズ、『世界耐久選手権(WEC)』への挑戦一年目を、ランキング7位で終えることができました。この挑戦は、私一人の力では到底、成し得なかったものです。今は、私のチャレンジを支えてくださった皆さまへの感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました!
世界最高峰のWECに参戦する中で、大変なことがたくさん起こりました。歴史のあるチームではありますが、LMPクラスへの参戦は一年目の我が『ガルフレーシング・ミドルイースト(中東)』は、マシンやタイヤなどに関する過去のデータが全くない状態からレーシングカーの開発を進めなくてはなりませんでした。ところが、シーズン第3戦となる最も過酷なレース、『ル・マン24時間』の直前に車両供給会社が倒産。それ以降、ほとんどスペア―パーツがない状況で車両の開発、セッティング作業およびレースを続けなければなりませんでした。さらに、チームメイトの骨折による離脱など残念なこともありました。
しかし、チームメンバー全員が一丸となり、粘り強く士気を高め合いながら闘いを続けた結果、何度も入賞することができました。10月14日に富士スピードウェイで行われた日本ラウンドでは、たくさんの方々の応援のおかげでチームにとって最高のリザルトである総合6位、『WEC-LMP2』クラス5位に入賞できました。この素晴らしいシリーズに唯一の日本人かつ女性として通年参戦し、さらに日本人としての初入賞を果たすことができたのは、たくさんの方々に支えていただいたおかげです。本当にありがとうございました。
また、WECへの年間参戦を通し、日本の自動車技術とモータースポーツのレベルの高さを世界に強く発信した功績が認められ、9月には内閣官房国家戦略室より『世界で活躍し「日本」を発信する日本人』の一人として表彰状をいただくこともできました。
これからも、活動の輪を少しでも広げていければと思っております。富士スピードウェイでのレースでは、児童20人をサーキットに招待し、海外のドライバー、エンジニアやメカニックたちと触れ合う機会を設けました。英語でのコミュニケーションに加えて、レーシングカーの運転席への乗り込みやメカニック作業の練習への参加など、こどもたちだけでなく、付添いの父兄の方々も目を輝かせていたのがとても印象的でした。
微力ではありますが、多くの可能性を秘めている子どもたちへ、また、多くの皆さまへ、『諦めなければ夢はかなう』ということを引き続きお伝えしていきたいと思います。もちろん、私自身もさらに上への挑戦は続けます!今後とも、どうぞよろしくお願いします。」
日程 | サーキット | 予選 | 決勝 |
---|---|---|---|
3月17日 | セブリング (アメリカ) |
計測せず | リタイヤ (マシントラブル) |
5月 5日 | スパ・フランコルシャン (ベルギー) |
20位 (LMP2クラス) |
4位 (WEC LMP2クラス) |
6月17日 | ル・マン サルテ | 20位 (同上) |
リタイヤ (アクシデント) |
8月26日 | シルバーストン (イギリス) |
15位 (同上) |
5位 (WEC LMP2クラス) |
9月15日 | インテルラゴス (ブラジル) |
11位 (同上) |
9位 (同上) |
9月29日 | バーレーン インターナショナル (バーレーン) |
10位 (同上) |
リタイヤ (マシントラブル) |
10月14日 | 富士スピードウェイ (日本) |
9位 (同上) |
5位 (WEC LMP2クラス) |
11月4日 | 上海国際 (中国) |
10位 (同上) |
リタイヤ (マシントラブル) |