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オイルの「増粘」とは文字どおりオイルの粘度が増加したことです。
通常エンジンオイルには「粘度グレード」が指定されており 10W-30 や 5W-50 など、様々な種類があります。
しかし、車に使用してゆく過程で少しづつ粘度が変化します。この変化の度合いはガソリンで希釈される(粘度が低くなる)場合と、反対に粘度が高くなる場合があります。この新油の粘度より使用したオイルの粘度が高くなっている場合を「増粘」と呼んでいます。
オイルが増粘するとオイルによる粘度抵抗が大きくなり、オイルポンプ自身のロス(エンジンの馬力を奪う)も増加します。したがって、燃費の悪化や加速が鈍くなるなどの症状が現れてきます。
増粘を判定するのはオイル会社等の試験設備が整っていないと正確には測定できません。
エンジンオイルは様々な粘度を持つベースオイルを調合します。
増粘が起こる原因は低粘度(柔らかい)分がエンジン内部で蒸発したり(蒸発減量という)、燃焼時に低粘度成分だけが燃焼室に入り込み、爆発行程でガソリンと一緒に燃えてしまう場合に発生します。
増粘が発生するのは「オイル設計」そのものに原因がある場合と、エンジンの摩耗(ピストンやピストンリング、オイルリングやシリンダー)に起因する場合の2つがあります。 いずれにしても「増粘」を判定するのは専門的となり、一般的ではありません。
増粘傾向はガソリンエンジンよりもディーゼルの場合に多く発生します。理由は燃焼時の煤(Soot = スーツ)が油中に入り込み、しだいにオイルの粘度が増加します。軽油を使用するディーゼルエンジンオイルの宿命とも言われていますが、最新の品質設計 (CG-4やCH-4)では増粘対策が念入りに施されています。
オイル会社は自社のオイル設計をする場合に「増粘」対策には適切な配慮をして、オイル分が蒸発しないように配合を決定していますので、オイル選びは信頼できるメーカーのものを選ばなければなりません。
しかし、エンジン摩耗が原因で「増粘」が発生した場合はオーバーホールなどの修理が必要となります。 この場合にはオイル減りも必ず発生しているはずですから、オイル量のチェックを頻繁に行えばトラブルを早めに発見することができます。